ぷらっちなむ・パーフェクト
陽が傾き辺りがオレンジ色に染まり始めると、5人は誰からともなくそれぞれの家へと帰り始める。

奈津も川の土手を登り、家に向かう。途中、足を止め後ろを振り返る。

川に反射するオレンジ色の輝きが思ったよりも眩しく、思わず目を細める。

向こう岸では桟橋の釣り人達もまた、帰り支度を始めていた。

釣り人の1人がこちらに気付き、手を振ってきた。中学時代の同級生、タカだった。

この町に2つある小学校の生徒達が、中学にあがると1つの校舎に通う事になる。そんな新しい環境の中で、タカは奈津に対して最初に声をかけた人間であり、最初にできた友達だった。

奈津はタカへ大きく手を振り返すと、それが帰りの挨拶なのかバケツを持った手を少し上げ、こちらに背を向けて釣り仲間たちと土手を登って行った。

奈津はタカの後姿を見送ると、自分も家へと向かう。と言っても奈津の家は先ほどまでいたログハウスから5分とかからないところにある。
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