ぷらっちなむ・パーフェクト
「ちょっと梅男、何であんなもん持ってんのよ」

レモンジュースを取りに行った梅男は、厨房で切らしてしまった酢を隣の海の家から調達して戻る途中だった。

「しょうがねえだろ。おれん家で切らしちゃったからお隣さんにもらって来てたんだよ」

夏の稼ぎ時に家の手伝いを免除してもらっている手前、梅男はお使いを はいはい と素直に引き受けた。

先ほどまで真上から照り付けていた太陽は、やや角度を緩めて浜辺を照らす。

刺すような日差しやゆらゆらと漂う熱気は少し優しさを帯びていた。

奈津はまたもや砂浜の上に横たわっている。口の中はまだ酸っぱい。

青空を見上げながら過ごす夏。

声をあげ、走り回りながら過ごす夏。

波と戯れながら過ごす夏。

甘酸っぱい夏。酸っぱいだけの夏、約1名。

夢のような時間は、あっという間に過ぎていく。
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