ぷらっちなむ・パーフェクト
入浴を済ませた一行は、風呂上りでツヤツヤの鼻をてからせながら豪勢な夕食を平らげていた。

「夏祭りの日だったら、俺とじーちゃんで作った花火見せられたんだけどな」

1人催し物が出せなかった晴。

「ほんと残念。じゃぁ、来年は花火に合わせて来るわ」

「来年も来るの?」

「もちろん来るわよ。来年は伊勢海老が食べたいわね」

「ゲンキンなやつ」

「あら、素直って言ってよね」

満里はそう言うと、窓から外を眺める。陽はとっくに沈み、暗闇の向こうから波のうねりが聞こえてくるだけだ。

「来るわよ。来年も。再来年も。ずっと、ずっと。。。」

浜辺に打ち寄せる漣とリズムを合わせるように満里はその言葉を2回繰り返した。寂しそうに見えるその横顔を、奈津はぼんやりと眺めていた。
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