ぷらっちなむ・パーフェクト
神経質そうにスノーボードウェアのズボンの裾をしきりに気にしているのは、富田の前に並ぶ紺。なかなか思うように決まらない。

おしゃべりしたりウェアの裾を気にしたりでチョロチョロする3人の前には、対照的にお行儀よく晴、一番先頭に奈津の順番で並んでいる。

季節は冬。ここは信州のとあるスキー場。辺りは雪に覆われ、白一色の雪景色。

山の中腹から見下ろす景色は、一見すると焦点が合わない程の距離にあり、ピントをあわせれば雄大な景色を眺めることができる。

そんな美しい景色とは多少不釣合いな、けたたましい破裂音が鳴り響く。

ずん ずん ずん

上空に、体の中心まで響くような轟音で音だけ花火が打ちあがる。そう、運動会の時のあれである。

列の先頭の奈津は、打ちあがるその音だけ花火をぼんやりと見上げていた。
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