ぷらっちなむ・パーフェクト
辺りが薄暗くなってもお気に入りの岩場に腰掛け、毎日毎日同じ場所から同じ景色を眺めていた。
「違うもん。毎日違うお顔になるんだもん」
完全に日が暮れる前に決まって迎えに来てくれる明にそう言った記憶が蘇る。同じところから同じ場所を見ても、町は一日として同じ表情を見せることは無かった。
そして満里は、ここ何年かのその風景を思い出すことができない自分に気付く。
小さい頃に見た景色は、心の中に鮮明に刻み込まれこんなにもはっきり思い出せるのに。
満里は誰に向けるでもなく言葉を吐き出し始める。
「海はいいよね」
「うん?」
梅男が短く聞き返すが、満里は海を真っ直ぐ見たままだ。
「山とは違う」
5人は満里の言葉の真意がわからない為、雀島の景色を眺めながら次の言葉を待つ。
青い陣地を二つに分けるように、飛行機雲が空に線を引いていく。飛行機の音だけがすっぽりと抜け落ちるその光景が、なんとなく不思議に感じられた。
耳の中を埋めるのは、優しく頬を通り過ぎていく風の音と、一定のリズムで波が奏でる心地良い波音だけ。
「違うもん。毎日違うお顔になるんだもん」
完全に日が暮れる前に決まって迎えに来てくれる明にそう言った記憶が蘇る。同じところから同じ場所を見ても、町は一日として同じ表情を見せることは無かった。
そして満里は、ここ何年かのその風景を思い出すことができない自分に気付く。
小さい頃に見た景色は、心の中に鮮明に刻み込まれこんなにもはっきり思い出せるのに。
満里は誰に向けるでもなく言葉を吐き出し始める。
「海はいいよね」
「うん?」
梅男が短く聞き返すが、満里は海を真っ直ぐ見たままだ。
「山とは違う」
5人は満里の言葉の真意がわからない為、雀島の景色を眺めながら次の言葉を待つ。
青い陣地を二つに分けるように、飛行機雲が空に線を引いていく。飛行機の音だけがすっぽりと抜け落ちるその光景が、なんとなく不思議に感じられた。
耳の中を埋めるのは、優しく頬を通り過ぎていく風の音と、一定のリズムで波が奏でる心地良い波音だけ。