ぷらっちなむ・パーフェクト
奈津は週末でも混むことの無い人の疎らな桃竜山スキー場を思い出そうとするが、すぐにやめた。

どうしていいかわからずに、並んで歩く晴の横顔をちらりと伺う。

困った時、いつも頼りになる存在だった晴が、何か言ってくれるのではないかという望みを持って。

だが、晴に口を開く様子は無く、むしろ口は真一文字結ばれたままだ。

日差しは強く、遥か先を見据えると陽炎がゆらゆらと揺らめいている。考える事を放棄したくなる暑さと、急な知らせだった。
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