ぷらっちなむ・パーフェクト
一行は満里に気の利いたことは何も言えないまま駅へと到着してしまう。
外房線の電車がホームへゆっくりと入ってくると、満里が5人より一歩前に出て電車が止まるのを待つ。
空気が勢い良く漏れる音とともにドアが開く。電車に乗り込み、満里は入り口付近でこちらを向いた。
「また、、、冬にな」
毎年当たり前のように決まっていたこと。だが今は、この言葉が喉元に刃物を突き付けてくる凶器のように感じられた。
「うん。楽しみにしてる」
あの山で過ごす、最後の冬。誰も口にできない。
奈津は桃竜山出発の日、いつもと少しだけ様子の違う喫茶室の満里と明を思い出す。満里はもっとずっと前からこの事を聞かされていたのだろう。
だが、今の今までこの事を口にしなかった、できなかった満里の気持ちは痛いほどよくわかった。
駅員が笛を鳴らす。
「ばいばい」
満里が手を振る姿を見て、5人は一瞬息をのんだ。
開いたときと同じように勢い良く空気の漏れる音ともにドアが閉まる。
無力
ただその言葉だけが重く全身にのしかかってくる。
ゆっくりと動き出した車両を、奈津は何もできずに見送るだけだった。
外房線の電車がホームへゆっくりと入ってくると、満里が5人より一歩前に出て電車が止まるのを待つ。
空気が勢い良く漏れる音とともにドアが開く。電車に乗り込み、満里は入り口付近でこちらを向いた。
「また、、、冬にな」
毎年当たり前のように決まっていたこと。だが今は、この言葉が喉元に刃物を突き付けてくる凶器のように感じられた。
「うん。楽しみにしてる」
あの山で過ごす、最後の冬。誰も口にできない。
奈津は桃竜山出発の日、いつもと少しだけ様子の違う喫茶室の満里と明を思い出す。満里はもっとずっと前からこの事を聞かされていたのだろう。
だが、今の今までこの事を口にしなかった、できなかった満里の気持ちは痛いほどよくわかった。
駅員が笛を鳴らす。
「ばいばい」
満里が手を振る姿を見て、5人は一瞬息をのんだ。
開いたときと同じように勢い良く空気の漏れる音ともにドアが閉まる。
無力
ただその言葉だけが重く全身にのしかかってくる。
ゆっくりと動き出した車両を、奈津は何もできずに見送るだけだった。