ぷらっちなむ・パーフェクト
雨に謳えば
夕方の漁を終えた奈津は、川の土手に上がり外房マリンを見下ろす。

太陽は西に傾き、空にはオレンジと紺のグラデーションが鮮やかに広がっている。

いつもだったら誰かしらいるウッドデッキも、都会からバケーションに来た奈津達と同年代ほどであろう男女が楽しげに談笑しているだけだ。

あれから3日。奈津はこの時間にこうして外房マリンを覗きに来るが、4人の誰かと顔を合わせることはなかった。なんとなくみんなバラバラになっている。

奈津は川に沿って伸びる道を上流に向かって歩き出す。沈みかけた西日を正面に受けて目を細める。

小さい頃には整備もされず雑草も伸び放題だったこの道路も、数年前にアスファルト舗装された。

道の脇に目をやる。幼いころ家族3人でこの土手を散歩した時のことを思い出す。
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