ぷらっちなむ・パーフェクト
昔齧ったものと同じ植物を徐に引き抜く。あの時の信と同じように皮を軽く剥いでいく。

齧る前から口の中に酸味が広がり、唾液が溢れ出してくる。

植物の名前は、たしかスカンポ。

スカンポの茎を齧る。酸味が口の中に広がる。顔を顰めるほどの酸味ではなかった。

「おう、奈津」

ふいに呼びかけられ、後ろを振り向くと紺がこちらに向かって歩いて来るところだった。

「紺」

「何してんだ?こんなとこで」

「いや、ちょっと散歩を」

「ふーん」

紺は奈津の手にしている植物と、道端で短くなった植物を見比べる。

「俺こないだこの辺で小便したから、やたらと触らない方がいいぞ」

口に含んだスカンポの汁が勢い良く飛び出した。

「ぶー!」
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