ぷらっちなむ・パーフェクト
どこへ向かうでもなく土手を進んだ紺と奈津は、川辺に降りる階段に腰掛ける梅男、富田、晴の姿を見つけた。

「うわー。澱んでるなー」

階段に腰掛ける3人のどんよりした背中を見て紺が独り言のように呟くと、路面の舗装とあわせて整備された川べりに続く階段を降りて行く。

何の祭られごとか、階段の脇には巨大な岩が置かれ、藁を束ねた縄がぐるっと一周されている。

誰も手入れをしてないのだろう、風雨にさらされみすぼらしくなった紙垂がその縄にかろうじてぶら下がっていた。

「3人揃ってなにやってんだよ。こんなとこで」

3人は首だけ振り向けて土手の方を見上げる。そこで偶然一緒になってさ、と富田が返事を返す。

奈津と紺は階段を数段降りると、3人に倣って石段に腰掛ける。気まずさがそうさせるのか、それぞれ同じ段には座らず低いところから梅男、富田、晴、紺、奈津の順番に座った。

陽はすっかり暮れ、蝉の声も疎らになる。それっきり誰も口を開かないから水面に跳ね上がる魚の水音が驚くほど良く耳に届いた。ぱしゃん。
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