ぷらっちなむ・パーフェクト
ずどーん。

軽く地面が揺れたような気がした。いや、実際に揺れたのかもしれない。視界が一瞬揺らいだあと、大量の水が舞い上がる。辺りはスコールに見舞われたような状態になる。

奈津はたじろぐことなく舞い降りてくる水をその身に浴びた。その冷たさが心地良かった。

さすがの梅男も今回ばかりは肩で息をしている。

4人は「なんで?何で投げた?」と無駄な問いかけはしない。

「投げる石がなくなったから」

と返ってくるのはなんとなくわかったからだ。

呼吸が整わないまま、梅男はくるりとこちらを向く。

「行くぞ」

短い言葉だったが、久しぶりに梅男の人間語を聞いた気がした。さっきからうおーとかどりゃーとか。

その短い人間語を口にした梅男は階段を上がっていく。

4人も大きく波打つ水面を背に重い足取りで土手を上がり始めた。
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