ぷらっちなむ・パーフェクト
那美はアクセルを小刻みに開閉しながら、梅男のそばをマリンジェットで小さな八の字を描くように航行する。

「梅男、準備はいいかしら」

「ひぇ~」膝を抱えた態勢でロープにつながれたハンドルを握り、固まっていた。

「ちょっと、もっと力抜きなさいよ。リラックスリラックス」

「スラックス?」

一生言ってなさい と冷たく突き放すと、那美はゆっくりとアクセルを握りマリンジェットを進め始めた。

「おっ、おっ、おっ、」マリンジェットと繋がれたロープが徐々に水面から上がって行き、やがてぴんと張られる。梅男の手には水の抵抗がすし と乗っかっていく。

梅男がゆっくりと前に進みだす。肩ほどまで水面の下にあった体が徐々に浮かび上がってくる。

「あー!あいやー!」

梅男が驚き半分怖さ半分。それとちょっとだけ感動の混ざった声を上げる。

スピードが増すにつれ、手にかかる抵抗はどんどんと重くなっていく。
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