ぷらっちなむ・パーフェクト
辺りがオレンジ色に染まる。

結局水面に立つことができずに文句を言いながら梅男と富田が帰っていく。

奈津は土手に登ると、いつものように後ろを振り返る。

向こう岸では、竿とバケツを持ち家路に向かうタカの後ろ姿があった。

その後ろ姿はいつものように手を振ることはなかった。

だが、水面に立つことができたことで舞い上がっていた奈津は、あまり気に留めずに夕陽の傾いた西の空を見る。

それがこれから起きる大きな事件の、ほんの前兆だったと奈津が知るのはこのほんの少し後のことになる。
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