たまゆら。
今度は俺が、ユッキーをちゃかしてみる。
何も動じないかと思ったのに、
「な……っ!」
ユッキーは思いのほか、顔を赤くして、手で口を隠すようにして。
あわあわと、うろたえていた。
…こんな表情は、なかなかレアなのかもしれない。
なんて、ちょっとだけ得した気分になる。
「あぁ、楽しかったんだ。だってユッキー明らかに機嫌いいもん」
「い、いつも通りでしょ?」
「いーや、違うね。ラメールいるときもずっと顔が緩んでたし」
そう意地悪く言うと、ユッキーが手で頬を押さえた。
可愛い。
素直にそう思ってしまった。
あまり抱かないほうがいい、そんな気持ちを封じ込めるように、俺は「友達と恋バナとかしないの?」と質問を重ねた。
するとユッキーはあっという間にいつもの冷静な顔に戻って。
「友達?」と怪訝そうに言った。
「私、いないもん。友達なんて」
「え?いない?」
「うん。相談とか恋バナとかしたことない」
ユッキーはなんの躊躇もなく、そう言い放った。
それが何か?という顔だった。