たまゆら。


そう思って、机の下を覗こうとしたとき。


「…あ!」とその子が嬉しそうな声を上げた。

その勢いでさっと頭を上げた私は、ガツン!と思いきり机に頭をぶつけてしまった。


「うっ…」

「し、篠原さん大丈夫??

あのね、たぶん、髪についてるシュシュだよ!」


額を撫でながら、私は言われるがままに髪を結んでいたシュシュを取った。
あまりに暑いから今日は長い髪を後ろで1つに結んでいたのだ。

マリナさんの、お気に入りのピンクのシュシュを借りて。




「…あ」


ローズピンクの、ふわふわっとしたシュシュには、パールがいくつか散りばめられていた。

…全然気付かなかった。

指でつまんだパールと見比べても、完全に同じものだった。


「本当だ」

「ねっ」

「やばいかも。これ。お母さんに借りたのに」


いっぱいあるうちの1つだから、バレないとは思うけど。

そう言うと、彼女は楽しげに笑ってくれた。


「バレないといいね」





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