たまゆら。
――大学という、私が過ごせなかった場所で過ごす時間。
きっとまだまだ夢があって、まだまだ出会うべき人たちがいる。
素敵なものにたくさん出会うだろう。
それには少し、私は遠すぎた。
「目が覚めました。…まだ勉強すべきことがあって、やるべきことがあるって」
「うん」
「それに…俺、好きな人が出来たんです」
あら。
私は目をパチパチさせてしまった。
…さすが大学生。
切り替えが早いなぁ、なんて苦笑してしまう。
ちょっと寂しいとか思ってる自分が嫌だった。
切り替えの早さに関しては、私は人のこと言えないから。
「よかったね。…やっぱり、大学では出会いがあるんだね。いっぱい」
「え?…やだなマリナさん。そうじゃないですよ」
蒼ちゃんはおかしそうに笑った。
私にはなんのことか、わからなかった。
「その子ね、俺より年下なんです」