たまゆら。
「ちょ、ちょっと、いつまで寝ぼけてるのよ!!」
バシッ!!!
と、思い切り手を払いのけられた。
手の甲にじーんとした衝撃を感じて、そこで初めて目が覚める。
クリアになった視界の中では、しかめっ面をした美少女が立っていた。
「…ユッキー…」
「何回も起こしてあげてるのに、寝ぼけてるのかしらないけどマリナさんマリナさんって。バカでしょ。成績も落ちるわけだわ」
心にビシバシ突き刺さることを言いながら、ユッキーはカーテンを勢いよく開いた。
部屋が一気に明るくなる。
マリナさんらしいピンク色の、部屋。
ベッドカバーも薄いピンク色で、棚や机の上にもピンク系の小物が多い。
そして何より部屋全体に、マリナさんの匂いがしていた。
…昨夜はよく見ずに、寝てしまったから。
「さっさと大学行かないと、遅刻するでしょ」
「はっ、はい」
部屋を出ていくユッキーを思わず見つめる。
まだ、パジャマ姿だった。
パジャマというのか、キャミソールに短パンというなんとも魅力的な姿。
ここで今更、「やっぱまずいかなぁ」なんて思う。
ユッキーは美少女だ。
しかも、年ごろの。
俺と5つぐらいしか変わらない。