モテヤンキーにコクられて
ハッ。


表札を見て、あたしが中園ってわかったら…。


もし、あのときのあたしが、今のあたしだって気付いて、柴田先輩のこの笑顔が消えてしまったら…。


つきまとわれて嫌だって思ってるくせに、また柴田先輩に嫌われたくないっていう思いがあたしの中にフッと湧いてきた。


あたしは思わず、背中で表札を隠す。


「あのっ、今日はありがとうございました。さっさと帰って下さい」


「お前、ありがとうとか言いながら、その言い方…」


柴田先輩は肩を揺らしてクックと笑ってる。


…しまった、さっさと帰れだなんて、


あたしって、ホント口が悪い。



< 94 / 396 >

この作品をシェア

pagetop