かな子
ママのお腹はずいぶんと大きくなって、もう足元が見えづらいみたいだった。いつも、パパやおばあちゃんが手を引いて歩くようになった。
病院はママの実家近くにあるらしく、ママのお母さんのことを「てらおのおばあちゃん」と呼んでいた。
いつも車で三十分ぐらいかかった。赤ちゃんがもうじきに出てくるらしい。しばらくの間、ママは実家に泊まるそうだ。
ママを実家に置いて行く日、てらおのおばあちゃんは、「まり子が生まれる時もこうだったのよ」と、話してくれた。
ママは私を産む時も、てらおのおばあちゃん家に泊まったんだって。それで、初めての子だったものだから、みんな大騒ぎで、夜中に生まれたにも関わらず、パパの車で病院に「とんで行った」らしい。


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