LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
「……んと……」



芽ちゃんは涙をティッシュで拭いながら、気持ちを落ち着かせてる。



「私ね、妊娠してたの…」



リビングとダイニングの中間に位置する出窓から、外を見る芽ちゃん。

過去形の言葉に胸を痛めるが、彼女は更に、予想外の言葉を並べた。



「実はさ……それが想像妊娠!
私のお腹、空っぽだった…。妊娠の初期症状があった時、私…暢に訊いたの。“赤ちゃん欲しい?”って。でも、“今は忙しいし、子供はあまり好かない。だから、無理だろうな”って、言われちゃった……(笑)」



痛々しい、空振りの笑顔に、言葉が未だに見付からない。
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