LOVE OF DISTINY〜最低で構わないから〜【完】
着信履歴に増えて行く、“永井”の文字を見てると、ガチャッと玄関の鍵が開く音。
泣いた形跡のある成美と、不機嫌な芽ちゃんに「おかえり」と告げる。
「……海斗…っ…!!」
すると、成美が大粒の涙を溢しながら、抱き着いて来た。
「どうした…」
成美を受け止めながらも、頭に“永井ナルミ”の顔が浮かんだ。
他に、思い当たる節がないせいでもあるが。
「…芽、何があった」
下川さんは腕を組み、目を閉じて問う。
「永井ナルミは…想像以上。
でもちゃんと、流産覚悟で成美を守ったから」
芽ちゃんの言葉に、胸に閉じ込めた成美から、視線を上げた。