桜星サンセット
ル プチ プリンスはログハウスで、中に入ると大きな窓から日の光が降り注ぎ、外と同じくらい明るかった。

「いらっしゃい」

オーナーが紅茶とお菓子を運んできた。

赤のチェックのシャツにジーンズ、大きくて少し垂れた目に口ひげ、くまさんみたいな体型はペンションのオーナーというイメージぴったり。

ごつごつした手で繊細なティーカップを扱う姿がなんだか微笑ましい。

「今日のお客さんは女の子ばっかりだから安心してくつろいでね」

にっこり笑った顔は、私の知っているどの大人の顔とも違う。

とげとげした物や相手を探るような所が全く無い、少年のような笑顔。

どことなく奥さんと似てる。

私達が泊まる部屋は紺色のカバーの掛かった2つのベットとクローゼットのみのシンプルな造り。

アンの部屋に似ていてなんだか落ち着く。

天窓から入る光が、きれいに磨かれた床や壁に当たってまぶしいくらいに反射していた。


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