桜星サンセット
「じゃあねー、白井さん」

女子集団が声を揃えて言い、教室を出て行った。

私も帰ろう。

「コウ!一緒に帰ろう」

アンだった。

「うん!」

嬉しくなって笑顔で答えた。

友達にならない方が良いなんてごめん、一瞬でもそんな風に思ったことを激しく後悔した。

駅までの道でも電車の中でもアンは常に人に見られていた。

高校生もおばさんもサラリーマンも駅員さんも振り返ったり、目で追ったりしてみんながみんなアンを見ていた。

綺麗過ぎてつい見てしまうんだろう、ほとんど反射的に。

こっそり写メを撮る人も何人かいた。

疲れないのかな?こういうの。

私だったら無理だな。

アンを見てるって分かってるのに、こっちの方を向いているってだけで緊張しちゃってるし。

アンはそんなことお構いなしに窓の外の景色を見たり、たわいもない話をしたりしていた。

そっか、慣れてるのか。

多分小さい頃からこうなんだろうなー。

妙に納得した。


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