桜星サンセット
電車は同じだったがアンの家は遠かった。

私の家は学校のある駅から3駅で近かったが、アンはそこからまだ50分も乗り続けなければならなかった。

「電車降りてからも家まで自転車で20分はかかるから、1時間半よ。往復で3時間。遠いよー」

うんざりした顔をしたが、なんだか楽しそうに見えてしまう。


もっと一緒にいたくて、もっともっと話をしたくて、ランチに誘うと、のりのりでOKしてくれた。

うきうきで私の降りる駅を出たはいいが、さて、どこでご飯食べようか?

私が知っているのは中学の時友達とよく来ていたファミレスくらいだ。

アンはいかにもお嬢様でファミレスなんかじゃなくておしゃれなイタリアンとかフレンチしか行かないような気がする。

困った。

そんな店もあったような気はするが入った事はないし、いくらするか分からないようなとこには入れない。

「この辺知ってるお店とかある?」

一応聞いてみる。

「全然知らないんだ。コウにおまかせ」

悩んだ挙句、やっぱり行き慣れたファミレスに来てしまった。

< 14 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop