桜星サンセット
高野さんが教室に入ってくるなり女の子が群がりみんなが聞いた。

「生徒会長とつきあってるの?」

高野さんは恥ずかしそうに笑い、小さく頷いた。

歓声や悲鳴に似た声の中質問攻めは続いた。

しばらくしてチャイムがなり、みんながバタバタと席へと向かう中、アンとすれ違いざまに何かを言った。

それは私には聞こえなかったけど、その笑顔は、作った笑顔ではなく、心からの彼女の笑顔だった。

高野さんの事は苦手だけど、その顔はすがすがしくて、気持ちの良いものだった。

今まで散々苦しめられた身としてはそれで全部を許してしまう事は出来ない。

ずうずうしい、調子が良すぎる、と思ってしまう。

アンは多分許しているのだろう。

私の性格が悪いのかな?

高野さんを横目で見る。

すっきりとした顔。

私だけがモヤモヤしてバカみたい。

こんな気持ちゴミ箱に捨ててしまおう。


< 158 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop