桜星サンセット
「コウちゃん頑張りすぎないでいいよ、まだ時間有るし」

遥さんがジュースを持って来てくれた。

「でもなんか楽しいです」

「そっか。私も。私達3年は最後の文化祭だから思いっきり楽しみたいんだ。これ終わったら受験とか就職とか始まっちゃうし」

甘酸っぱいミックスベリージュースを飲みながら2年後の自分を考えた。

「遥さんは進路どうするんですか?」

「私は専門学校行くんだ。ネイルの」

「じゃあ、将来はネイリスト?」

「うん、ネイリストになるの」

両手を広げて爪を見せた。

長くてきれいな指に整えられた爪、丁寧に淡いピンクが塗られ、小さなラインストーンが載っている。

「かわいーー」

「ありがと。当日はコウちゃんにもやってあげるね」

笑顔がまぶしい。

ホントにきれいだな、遥さん。

コウスケもそうだけど、将来を決めている人は夢って言わない。

なる、って言う。

キラキラした瞳で。

私も3年になるまでには決めたいな、私がなるものを。

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