桜星サンセット
「あとは、制服でしょ」

「えーー、どこが?」

全体に茶色っぽい短めのブレザーにチェックのプリーツスカート。

首のネクタイがせめてリボンだったらまだ見れたかもしれないが、野暮ったいとしか思えないウチの制服。

そりゃあアンが着たらこんな制服だってかわいく見えるけど、かわいい制服着たらもっとかわいいのに。

「制服だったらM高でしょ。一番人気だよ」

M高、私が行きたかった高校。

みんなが受かって私だけが落ちた高校。

「だめよー、あんなの。制服ばっかりが目立っちゃってブスに見えちゃうよ。あの制服は絶対誰にも似合わない。制服だけで完結しちゃってるもん。着る人のことなんてちっとも考えてない」

そう言われればそうかも。

あそこは制服はかわいいけどかわいい子はいない、って聞いたことある。

「ほら見てよ」

アンの視線の先にはM高の制服を着た女の子4人組。

私たちのテーブルの横を通って、私の後ろの席に座った。

あっ。

高校の制服だったから一瞬分からなかったけど美紀達だ。

優美もノンもみっちゃんも、全員いる。

嬉しくて声を掛けようと立ち上がった瞬間、信じられない言葉が襲った。

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