桜星サンセット
「さあ、続き、続き」

アンが張り切った声を出した。

「まず、これ。日焼け止め。塗ってみて」

白い箱と手鏡を渡された。

「あ、使う前によく振ってね」

言われたとおりに数回振ってから手に出した。

白い液体。

ツヤがあってぷるんとしている。

匂いを嗅ぐ。

無臭。

「大丈夫よ。これ全部私も使ってるから。天然の成分ばっかだし。ねっ」

その、ねっ、に私は弱い。

思い切って顔に伸ばす。

スーッと伸びて、すぐに肌になじんだ。

んっ?んんっ?

手鏡の中の顔が何か違う。

「これ、何?」

「だから、日焼け止めよ。ここ、塗り忘れてる」

アンはその日焼け止めを手に取り、私の鼻の下と、こめかみ、そして首全体に塗った。

「うん、OK。春も夏も秋も冬も一年中ずっと毎日よ。外に出ない日も忘れないで」

「学校にも?」

「当然」

「これって色ついてるよね?学校大丈夫?」

「アハハハ、大丈夫よ。色はついてないの。光を反射する成分が入ってるから白く見えるの。スキンケア成分も入ってるからキメも整って一石二鳥よ」

もう一度鏡でじっくり見る。

確かにきれいになっている。

黒髪と白い肌が相乗効果でさらに黒く、白く見える。

なんか、私、かわいくなってる?

テンションが上がる。

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