桜星サンセット
「次は、これ、リップクリーム」

いつも私が使っているドラックストアの薬用とは色も形も違う、ブランド物の口紅みたいな容器を渡された。

「これは、ビタミン入りで使うたびに唇に栄養がいきわたって血色が良くなるの。ちなみに色も付かないから大丈夫よ」

もう、躊躇しない。

一塗りするとグロス並みにつやつやになった。

「すごーーい。アンこれ使ってるからそんなにきれいなんだ」

「うーーん、ちょっとそれ失礼だけど、まあ、そうよ。これぜーんぶ使ったらコウも見違えるわ」

「さあ、次、次」

説明は続く。

シャンプーやトリートメント、化粧水、美容液、パック、ハンドクリーム、爪用のオイルなんてのもあった。

一つ一つ使い方や成分、効果を丁寧に説明していった。

「これで全部よ。今日からがんばって」

アンはカゴに全部を詰め直して私に手渡した。

こんなに私に出来るかな?

化粧水くらいは使ってるけど、美容液もパックも使った事がない。

アンは完璧にこれを使いこなしているんだろうけど、私に続ける事が出来るとは思えない。

大体、全部高そう。

金額は書いてないけれど、外国製で、天然成分って言ってたし。

やっぱ、無理だ。

日焼け止めもリップも気に入ったけど、私には高価過ぎる。

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