桜星サンセット
「なんで私にここまでしてくれるの?この髪も、このスキンケアグッズも。なんでここまで・・・」

さっきからずっと気になっていたことを聞いた。

「この前、言ったよね?コウは私にとって運命の人だって」

「その、運命の人って何?まさか、アン、あの、そ、そっちの人なの?」

「レズってこと?アハハハハハッーー、違う、違う、おかしー、コウ、ホント面白い」

自分でも変な事を言ったのは分かってるけど、だって、そうじゃなきゃここまでしてくれるはずがないもん。

「コウはーー、かわいいのに自分でブスとか思ってる。そんなんじゃ内面までブスになっちゃうよ。嫌いなの内面ブス。だから、まず、見た目だけでも自分でかわいいって思えるように、ちょっとだけ変えただけだよ。かわいい、って思えるようになったでしょ?」

確かに、今日ここに来て人生で初めて自分の事をかわいいって思った。

大げさだけど、人生がパッと明るくなった気がしている。

「うん。まさに変身って感じ。生まれ変わったみたい。それもメイクじゃなく、ってすごい」

「元々かわいいんだもんコウは」

にっこり笑った。

今日何回かわいいって言われて、何回自分でかわいいって思っただろう?

今までお母さんや、お店の店員さんにかわいいって言われてもちっとも嬉しくなかったし、むしろ嘘ばっかりってひねくれてた。

それが今は、かわいい、が素直に嬉しい。

心の奥から温かいものがじゅわっと溢れてくる。

それが体中に広がって幸せな気持で満たされる。

気持良い。

かわいい、ってこんなに気持が良いもんなんだ。

< 39 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop