桜星サンセット
「かわいいって言われたり、自分で思ったりするとその度に本当にかわいくなるんだよ」

アンが小声で言った。

「アンも自分で思ったりするの?」

「当然。鏡を見るたびに思うわ。でも、内緒ね。ナルシストみたいで感じ悪いでしょ?」

「確かに」

2人で声を上げて笑った。

「じゃあ、もう一つ内緒の話。私のこの髪パーマだし、色も染めてるの」

「えーー、そうなの?全然そんな感じしないよ。逆に黒が想像出来ないくらい」

「そう?ママのおかげね。よく見て、まつ毛も瞳も黒いでしょ?眉毛を髪と瞳の中間色にしてるから分かりにくいの。いままでバレたことは無いんだから」

確かに髪と、眉毛と、まつ毛と瞳を別々に見たら違う。

でも一緒に見ると全く違和感が無い。

さすがまりこさん。

「あー、もうこんな時間。送っていくわ」

まだ4時過ぎたところだった。

「まだ、いいよ」

「だめだよ。遠いんだから。暗くなる前に家に着いてないと」

まだ帰りたくはなかったが、「明日から学校でずっと一緒」というアンの言葉に機嫌を良くして帰ることにした。

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