桜星サンセット
帰りもアンの自転車の後ろ。

来た時と同じすごいスピードで進む。

「アン、速いよねー。どこにそんな筋肉ついてるのーー?」

アンの白くて細い足を思い出して聞いた。

「言わないでーー。私実は筋肉すごいの。こればっかりは落とせないのーー」

ちょっと恥ずかし気な言い方がおかしかった。

今日一日にあったこと、今こうしてアンの自転車に乗っている事、風で頬に当たる髪がサラサラで少しくすぐったい事、遠くに見える夕日がきれいな事、全てが楽しくて、嬉しくて、なぜか涙が出そうだった。

「じゃあ、明日ね」

「うん、明日」

学校なのに、明日がこんなに楽しみなのって初めて。

今日は初めてがいっぱいだ。

電車の窓に映る自分を見る。

行きとは全然違う気持で。

自分でもかわいいと思ってしまう。

自然に笑みがこぼれた。

窓ごしに知らない人と目が合う。

うわっ、しまった、これじゃあホントにナルシストじゃん、気をつけなきゃ。

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