桜星サンセット
帰って来たっ!

階段を降りながら待ちきれず声を掛ける。

「アンー、まりこさーーん!」

返事は無かった。

お店の方に行ったが見当たらない。

「まりこさん?」

もう一度声を掛ける。

「まりこさんはいないよ」

アンでもまりこさんでもない声。

よく見るとしゃがんでCDの棚を探っている男の人の後姿があった。

誰?まりこさんって言ったから泥棒ではないのだろう。

その男の子は私には全くお構いなしにCDを出しては戻しを繰り返し、何か探しているようだった。

私はその姿を見ながら何も出来ないでぼーっと突っ立っていた。

「あった」

その子は弾んだ声を上げ、一枚のCDを持ちくるっとこっちを向いた。

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