記憶が思い出に変わる時(仮)
ーガラッ
「椎名ちゃん」
「ゆーりちゃん!どーしたの?」
「椎名ちゃんも今日から2年生だから、進級祝い買ってきたよ~」
そう言ってお菓子の入った袋を差し出すと、期待とは裏腹に椎名ちゃんの笑顔はなかった。
え…お菓子嫌だった…?
「しぃ…」
「ん?」
「しぃも…2年生になれるの…?」
悲しそうな目で
必死にあたしにしがみつく。
「しぃ、学校行ったことないのに…しぃも2年生なの…?」
椎名ちゃんが
どんな気持ちなのか、
2年生になることが
嬉しいのか、
学校も行かずに進級するのが
悲しいのか、
あたしにはわからなかった。
「今日から椎名ちゃんは2年生だよ」
「そっ、かぁ…」
椎名ちゃんはやっぱり
嬉しいような、複雑な表情をした。