記憶が思い出に変わる時(仮)
加奈先輩と稜先輩が
別れたのはすぐにわかった。
無理して笑う稜先輩と
気まずそうにする加奈先輩を
見れば、
どっちから切り出したかすら
手に取るよう。
あんなに好き合っていたのに
人間の心は…怖いんだね。
…陽希…
あなたもどこかで
泣いているのかな…
ーーーー
ーー
「ふーっ!」
「いい飲みっぷりですね、太雅先輩」
「服部ちゃんのお手製だからね」
「またまた~」
「明日からは新入生も入部だね?
どう?集まりそう?」
「多分…日向の影響で(笑)3年生はあと2ヶ月で引退ですか…」
「こらー、全国いったら夏まで!」
「ふふっ、応援してますよ」
「服部ちゃん」
「はい?」
太雅先輩は
あたしに近づいて耳打ちした。
「加奈と日向、どーなると思う?」
「へ…?」
太雅先輩の視線の先。
日向と楽しそうな加奈先輩。
「…さ、さぁ…」
「俺はお似合いだと思うんだけど」
“お似合い”
確かにその言葉が
1番合ってるのかもしれない…
あたしの心臓は
嫌な音をたてる。
「…どう、でしょうね」
「服部ちゃん…」