記憶が思い出に変わる時(仮)
「…おにーちゃ…」
日向に向かって
手を伸ばす椎名ちゃんを
日向は抱きしめた。
「…優梨、今のがしぃの父親」
「日向は…違うの?」
「あの人はお袋の再婚相手。
しぃは正真正銘、あの人の子ども。
俺は、再婚前の人との子ども」
なんか
複雑すぎて
わかんないけど
「日向は、あの人のこと嫌い…?」
「大っ嫌い」
日向には
見えてないかもしれない。
でもね、
椎名ちゃんの顔
すっごく辛そうだよ…?
「椎名ちゃんは、
あの人のこと好き?」
「…きらぁーい…」
それはきっと本心じゃないね。
いつか、教えてくれたね。
しぃのパパ、かっこいいんだって。
お兄ちゃんに、
日向に、
嫌われないように
椎名ちゃんは必死だね…?