記憶が思い出に変わる時(仮)
「うわっ加奈!
悪ぃ!!わるかった!!」
加奈と呼ばれた先輩は
ツカツカと、
男子の先輩に近づいていった。
「あ、あいつら
付き合ってるから
心配しなくていーぜ」
「え…」
「俺、2年5組
松本太雅(たいが)ね」
背が高くて
すごくかっこいい先輩…
黒髪なのに
どこかルーズさも感じる。
「あ、
1年2組服部優梨ですっ!」
「服部ちゃんね~
これからよろしく」
「よろしくお願いします」
その頃、まだ
加奈先輩たちは騒いでいた。
「…なんで、いんだよ」
「村岡日向…!」
いつの間に近くにいたのか、
あたしの手からコップを
抜き取った。
「…バスケ、
中学でやってたの?」
「いや」
「え?」
経験者じゃないなら
なんであんなに―…
「中学はサッカー。
…バスケは趣味」
「…趣味…」
つまり、何でもできるわけ、か…
「…お前は」
「ん?」
「バスケ…やってたのかよ」
「あ、あたし!?」
びっくりした。
あたしのこと聞かれるとは、
思わなかった。