記憶が思い出に変わる時(仮)
―ガチャッ
「あら、優梨ー?」
「…」
「優梨なのー?まったく…またサボり?」
あたしは自分の部屋に
一直線に向かった。
お母さんは
いわゆる
シングルマザーってやつ。
あたしがお腹にいるって
わかった時に
お父さんに逃げられたんだって、
聞いたことがあった。
あたしがいなければ、
…そう言われてるとしか
思えなかったけど。
そんなお母さんは
夜に水商売をしている。
昼間は…
何してるかわかんないけど。
あたしに兄弟は、いない。
「は…停学だって…ははっ…」
誰もいない部屋で
つぶやいてみる。
―――――――
―――
「ん…」
いつの間にか眠っていたらしい。
時計はPM7:15
あれから4時間ちょっと…
もうお母さんは仕事に
行ったみたいで
家の中は静かだった。
あたしはスエットに着替えて
夕飯を買うために外に出た。
すれ違うのは
部活帰りの中学生や高校生。
部活…
いつ登録だっけ…
間に合うかな…。
空を見上げれば
無数の星が輝いていて。
三日月が綺麗に
辺りを照らしていた。