記憶が思い出に変わる時(仮)
「…」
まだ、帰りたくない…
バスケ、あたしも日向みたいに
できたらな――…
―ダンッ
「…は、無理…」
…やっぱ才能ないみたい。
ボールはすぐに手から離れて転がっていく。
「ボールまで、
あたしから逃げてくの…?」
壁にぶつかって止まったボールを拾うと
色んな感情が溢れだす。
クラスのみんなの視線が痛い。
また、
…また、あの頃みたいになるのかな…
由衣がいない隙を狙って仕掛けられる陰気な嫌がらせ。
由衣に心配させたくなかったし、
原因が原因だから陽希にも言えなかった。
2人が、
ただ傍にいてくれたから…
それだけで、よかった…