記憶が思い出に変わる時(仮)



「こんなに可愛い優梨ちゃんだもの、何か事情があるのよ…」

「…そう、思いたいんですけど」


1ヶ月も連絡ないから…


あの頃は毎日
メールして、デートして、ずっとずっと一緒にいたから
余計に寂しさがあるのかな…


「優梨ちゃんから
電話したりしないの?」


「まだ、陽希が携帯持ってなくて、あたしの番号だけ教えてあるんです」


「そっか…。…もちろん、陽希くんだって人間だから心変わりしない保証なんてないけど、優梨ちゃんのその気持ちは本物でしょ?今はそれを大切にしてね…?」


そう、
人間の心なんてわからない。


いくら信じたって
変わる時は変わる。

自分のこともよくわからないのに
他人なんて知りえない。



誰かを信じるって
そういう不確かなものを
信じるってこと。


それができるって、
きっとすごいことなんだ。
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