記憶が思い出に変わる時(仮)
「…日向?」
ボールをしまわずに
壁に寄りかかって座っている。
「あたしがいてもシュート練習意味ないんじゃ…きゃあっ!?」
突然ボールが飛んできて
顔面直撃するところだった。
「お前反射神経いいのな」
「んなこと言ってる場合じゃないでしょー!?もう少しで顔に…」
何よ…その手…
「パス」
―シュッ
「うおっ!」
「そんなに強く投げてないし…」
いつもクールな日向の
オーバーリアクションに
失笑してしまう。
「ほら、お前にもボールやるから」
「えっ!い、いい!あたしは…!」
全力で否定するも
飛んでくるボール。
「…もうっ」
でもボールを持てば
部員達のように
動きたくもなる。
「勝負な」
「や、絶対無理だよ…」
ニヤッと笑って放ったボールは
綺麗な孤を描いて
まるで引き寄せられるかのように
リングを通った。