記憶が思い出に変わる時(仮)
*記憶
*side優梨
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――
「……梨…」
愛しい声が聞こえる…。
「優梨…」
声の持ち主の
シルエットは見えるのに
手を伸ばしても届かない。
「陽希っ!?
陽希なんでしょ?!」
顔も不鮮明で
はっきりとは見えない。
「やっ、やだ!行かないでっ」
シルエットはだんだんと
薄くなって周りに呑まれていく。
「っ、陽希っ!あ、あたしも行くっ!!」
走っても走っても
追いつかなくて
「陽希っ!待って!!陽希っ」
泣き叫んでも
何も変わらない。
「っ、置いて行かないでっ!…っあたしを1人にしないでっ!!」