記憶が思い出に変わる時(仮)
ーーガラ
「あーっ!ゆーりちゃん!!」
「こんにちは」
「こんにちはーーっ」
突然の訪問にも
昨日と同じにっこにこの笑顔で迎えてくれた。
「日向じゃなくてごめんね?」
「んーん!しぃ、ゆーりちゃん来てくれて嬉しい!」
「そっか…」
屈託のない笑顔を見たら
嫌な事、すべて
忘れられそうだった。
「日向は毎日来てくれるの?」
「うん!いっつもね、しぃのことぎゅーってしてくれるの!」
ぎゅーって…
日向め…(笑)
その時、病室のドアが開いた。
「しぃー?…ってお前…」
「えへ、来ちゃった」
「おにーちゃんっ!」
途端にとびっきりの笑顔になる椎奈ちゃん。
日向のことが本当に好きなんだって、
心から伝わってくる。
「じゃあ、あたし帰るね」
「えー…?」
椎奈ちゃんが可愛い声で、
つぶらな瞳で見るから…
「…もうちょっといてもいい?」
「ほんとぉー?やったぁー!」
ダメだ…
この笑顔には一生勝てそうにない。
「しぃ、今日ちゅうしゃ泣かなかったー!」
「まじか!すげぇじゃん、しぃ」
「えへへーお兄ちゃん、しぃが小さいときは泣いてたよねー?」
「え。椎奈ちゃん、そうなの??」
「うん」
椎奈ちゃんが小さい頃って…
今でもまだ6歳なんだから
最近なんじゃ…
「おい、笑ってんなよ」
「だ、だって…」
「てめぇ…優梨、覚えてろよ」
「ははっ、そ、そんなこと言われてもっ」
「ふふーお兄ちゃん泣き虫ー!」
「あ"っ、しぃまで!」
「椎奈ちゃんもっと言ってやれー!」
「えへへー」
3人で笑いあったこの日を
きっとあたしは永遠に忘れないよ。
椎奈ちゃん、
あなたはあたしの中で
本当に女神様だったんだよ。