記憶が思い出に変わる時(仮)
「じゃあ、また、くるね」
「うん、ゆーりちゃん、お兄ちゃんまたね!」
「あたし先行くから。日向は椎奈ちゃんにぎゅーってしてあげな(笑)」
「!てめぇ…」
「またね♪」
「ばいばーい」
ーガララ…
PM9:00
うーん…
暇だなぁ…
「優梨」
「あれ、ハグしてきた?」
「馬鹿にしてんじゃねーよ」
「してませんー!椎奈ちゃんと日向は両想いみたいですから?」
「あたりめぇだ」
「ベタ惚れですね…」
「…………」
「お前、この後どうするつもりだ?」
「何…?どうって…帰るけど…?」
「…親は?」
え…何。
なんでここでそういう話しになるの…?
「昨日、入院してた“服部優子”ってお前の母親だろ」
「……」
「看護師さんたちが騒いでたから」
「お母さんのこと見た…?」
あんな人見て
なんて思うんだろう。
「…けばかったな」
「…な、に…それ」
日向なりの優しさが
嫌でも伝わってくる。
「そんなの…はじめて言われた」
陽希、
あなたもお母さんのこと
気にしないでくれたね。
“寂しかったら、
俺のとこに来い”って、
そう言ってくれた。