先生サマ
そんな私と田畑先生が火花を散らし睨みあうのを悠也くんは横で見ている。
暫く睨みあう私たちの間の沈黙。
その沈黙をやぶったのは私や田畑先生でなく悠也くんのしょうもない疑問だった。
悠『りお〜、じゃなかった。
美山は何であんな狭いロッカーの中から出てきたの?
ってかロッカーで何してたの?』
そう質問する悠也くんに黙れとアイコンタクトをとる。
悠也くんは気づいたらしく小さくスミマセンと言って押し黙った。
田畑『………ふんッ。生意気なガキね。』
そう睨む私に向かって見下したような言い方をして田畑先生は職員室へと入っていった。
田畑先生が職員室に入って私と悠也くんは今二人きり。
さっきの今だし、なんとなく悠也くんとも気まずい雰囲気になってしまう。
暫く黙って二人で立っていたがその沈黙に耐えられなくなり私は悠也くんに
里「私…、帰る」
そう言って廊下を足早に歩いていく。
っと…、
突然悠也くんに腕をつかまれた。
何かと思いながらも振り向けば、そこには悠也くんの満足そうな笑顔があった。
悠『待って。今からもう帰れるし、一緒に帰ろ?』
そう言った悠也くん。
それを断れるはずもなく、私は小さく頷いた。
悠也くんは私の返事を聞き少し嬉しそうな顔をして
悠『じゃぁ、ここで待ってて?』
そう言って職員室に小走りに向かっていった。