鏡【一話完結型】
(人間ってものはどうして、こうも脆いのか)


本当は弘喜は旭と妻の子供ではなかった。
だけど、それを伝えようが、伝えまいが、二人は後に離婚するのをわかっていた。


結局、旭は信じ切れずに、妻に言ってしまうのだから。

言ってはいけない禁忌(タブー)を。


旭は自分の子供だと告げられて、信じるどころか更に疑ったのだ。
そう、それはまるで何の証拠もない携帯電話のように。


何もないと分かれば分かるほど、おかしかな。
人と言うものは不安になる。

一度疑問を持ってしまったら二度と、その呪縛からは逃れられない。


(もっと早くに問いただせばよかったものを)


旭は何もかもが遅すぎたのだ。

だけど、それも運命。


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