鏡【一話完結型】
そびえ立つ洋館。
そこに入る男女数名。


「怖くない?」

「怖いかも」

「俺平気だし」

そんな事を言い合いながらきゃあきゃあと、うるさく足を進めるその子達。

近くの小学校に通う男女数名だった。
先頭から信人、南、風子、響子と言った。

同じクラスで、昔から仲の良いメンバーだった。


この洋館の噂を聞いて、行こうと言いだしたのは先頭の信人。
男らしく、皆を引っ張っていくリーダー的存在。

嫌だと言った皆を半ば無理矢理連れて来たのだ。


風子と響子は怖いからか、信人と南の後ろに隠れている。
夕方、薄暗いそこは『探検』には打ってつけだった。

悪ガキで通っている信人は何か、面白い事はないかと常日頃思っていた。
そこにこの話を聞いたのだ。

これはチャンスだと思って、皆を誘った。
聞きたい事は二の次で。


「うお、この扉重いぞ。南、そっち持てよ」

「わかった」

一番奥であろう扉を開けようと、信人が手をかけたがあまりの重さに南に助けを求める。
南と二人がかりでどうにか開いた扉。

そこに信人が一番最初に足を踏み入れた。
それに南が続く。
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