鏡【一話完結型】
「大丈夫?」

「あった?」

中に入っていない響子と風子が信人と南に声をかけた。
その声に曖昧に返事をしながら、信人は懐中電灯で辺りを照らす。

そして。


「………見つけた」


ぽつりと信人が漏らすように呟いた。
それに南も近付き、部屋の外にいた風子と響子も男子に恐る恐る近付いた。


「大きいね」

「本当に」

響子と風子がまた、呟くように言う。
信人はその鏡の大きさに圧倒されていた。

でかい鏡など、見る機会はあるはずなのに。
どうしてか、ここにある鏡は他とは全く違っていた。

その何かはわからない。
ただ、何も言葉に出来なかった。


「なあ、信人、言えよ」

「は?」

隣で同じ様に放心していた南が我に返った後、信人の肘をつついてそう言った。
それに訝しげな顔をする信人。

後ろにくっついている女子二人を見ると、南と同じ様に思ってるのか頷いている。

(……まあ、いいけど)

小さく溜息をつくと、信人は一人前へと進んで鏡の前に仁王立ちした。
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