鏡【一話完結型】
「鏡…鏡さん?質問がある」


やはり誰もが皆、自分が映っている鏡に問いかけると言う事に疑問を持つようだ。
半信半疑と言う事もあるからか、更に声は小さくなる。

だけど、信人は違った。
はっきりと口にしたのだ。


「皆、一生一緒にいられるだろうか」


“皆”とは、もちろんここにいる四人の事。
この四人でずっと、一緒にいたいと思った。


進学したら変わってしまうのだろうか。
はたまた、誰かに恋人でも出来てしまったら…。


信人はそんな不安を持っていた。


「……信人…」

それに他の三人はぼそっと信人の名前を反芻するだけで、何も言わない。
各々、思う事があるのだろう。



「いるなら、答えてくれ。
俺たちはずっと仲良くいられるのか」


うんともすんとも言わない鏡。

何の変化もない鏡をただ四人はじっと見つめる。
いや、三人は見守っていた。



『……小僧。答えが欲しいか』


それは唐突で。
風子に、響子は叫び声をあげて男子の後ろに隠れた。

南も信人も目を見開き、互いに目を合わした。
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