鏡【一話完結型】
『…くく、やってみろ、そして我を驚かせてみよ』

「ああ、やってやるからな!待ってろよ、鏡!」


四人はそう宣言すると、その洋館を後にした。
その宣言は、幼いならではの誓いだったのかもしれない。


だけど。


『………面白い』


確かに、鏡の主を楽しませていた。


摩訶不思議な感情。
理解出来ぬ感情。

今、確かに芽生えた感情。

鏡の主は小さく笑った様に見えた。


(やはり、人間は不可解だ)


だけど、彼等の行く末を見てみたいと素直に思える。
それは鏡の主にとって初めてのことだった。


子供とは無邪気で。
それは時に、残酷で。
それは時に、希望でもある。


鏡の主はこの不思議な感情を噛み締めて、また一人鏡の奥へと消えて行った。



           Fin.
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